梅雨明け後は暑熱被害への備えが急務に

7月の大雨(豪雨)は全国各地で河川の氾濫や土砂崩れの被害が出て、一部の地域で鶏にも被害が出たほか、道路の冠水や崩落などにより飼料輸送や、卵や鶏の移動にも悪影響が出た。

長い梅雨がようやく明けた地域も多いが、今度は高温による暑熱被害が懸念される。

農林水産省生産局畜産部畜産企画課が各都道府県からの報告に基づきまとめた、暑熱の影響による能力低下などで廃用した家畜や死亡した家畜(家畜伝染病予防法に規定された疾病による死亡を除く)の数は令和元年度の7~9月で採卵鶏47万羽、肉用鶏20万9000羽となっている。

これを全国の飼養羽数(頭数)に占める割合でみると、採卵鶏は0.33%、肉用鶏は0.15%で、乳用牛の0.08%、肉用牛の0.01%、豚の0.03%より高い割合となっている。

鶏の暑熱対策のうち、飼養管理面では、①良質で消化率の高い飼料給与②ビタミン、ミネラルの追給③清浄で冷たい水の給与――が重要になる。

畜舎環境面では、①寒冷紗などによる日除け②屋根裏・壁・床への断熱材の設置③屋根への消石灰の塗布――など。

鶏の体感温度低下のためには、①飼育密度の緩和②換気扇などによる送風③散水・散霧などの対策――が必要になる。

畜産企画課の暑熱被害調査によると、近年の死亡・廃用羽数が多くなる傾向が出ている(注…平成21年調査はなく、平成20、27年は9月の調査を行なっていない)。
【採卵鶏】
平20年 6万2000羽
平22年 23万9000羽
平23年 11万1000羽
平24年 10万9000羽
平25年 28万羽
平26年 17万羽
平27年 17万5000羽
平28年 35万5000羽
平29年 6万6000羽
平30年 29万4000羽
令元年 47万羽
【肉用鶏】
平20年 18万7000羽
平22年 62万4000羽
平23年 23万6000羽
平24年 22万9000羽
平25年 35万8000羽
平26年 26万8000羽
平27年 29万2000羽
平28年 30万2000羽
平29年 24万9000羽
平30年 30万4000羽
令元年 20万9000羽

暑熱による畜産関係被害状況(令和元年7月1日~9月30日)