本格的な鍋物需要に期待 食鳥協理事会

人手不足で対応できず、業務用需要は社用回復がポイント

(一社)日本食鳥協会(佐藤実会長)は12月3日、東京都千代田区の大手町LEVELXXI東京會舘で令和3年度の第3回理事会を開いた。

冒頭、佐藤会長は今年初めて理事会を実開催できたとし、「国産チキンは何となく盛り上がりに欠ける。本来であればもっと冷え込み、消費が拡大することが望ましいが、暖かい天候が続き、本格的な鍋物需要に入っていない。大事な12月の時期なので、少しスピードを上げて消費拡大に向けてご尽力いただきたい。今年のクリスマスは曜日の並びが良いため、年明けには皆さんの明るい顔を拝見できるよう期待している」と述べた。また、12月1日から2月28日まで実施している国産チキン消費拡大キャンペーンの概要を説明した。

最近の鶏肉の需給動向について、各部会から次のように報告された。

▽生産加工部会=生産状況は一部で大腸菌症が出ているようだが、おおむね順調。むね肉の販売は順調だが、もも肉は早く寒くなり鍋物需要で動いてほしいと思っている。手羽元はミツカンのCMの影響で順調だったが、ここにきて落ち着いてきた。

帰国した外国人技能実習生の代わりが入ってこないため、各社とも工場の操業で苦労している。派遣社員の導入や他部署からの応援、残業で何とか年末用の商品を作っている。販売先から引き合いがある副産物も、人手不足で取れないのが現状である。

▽荷受部会=量販店、外食とも少しずつ上向いており、気温の低下による需要の盛り上がりを期待している。もも肉は少しずつ動き出したが、不足というレベルではない。手羽元、手羽先も何とか捌いている。加工向けのむね肉、ささみは需要がある。内臓類は肝、砂肝ともに何とか捌いている。焼き鳥系の砂肝は少しずつ売れている。今年は葉物野菜が安いため、鍋物需要に期待している。

ブラジルを中心に、もも肉の輸入量が増えており、年明け以降はダブつき感が出てくるかもしれない。タイでは工場での新型コロナのクラスター発生や人手不足により、処理羽数は例年の7~8割、加工品の生産は約半分になっている。その減少分を国産で補うという話もあるが、国内も人手不足で対応が難しい。

今年のクリスマスは24日が金曜日、25日が土曜日と並びが良く、骨付きももなどのクリスマス需要も期待している。

1.5次加工の手羽中ハーフや角切り、人手がかかるヤゲン、せせりなどが出荷できていない。外食需要があるのに対応できないというジレンマがある。

▽小売部会=10~11月は緊急事態宣言が解除されたことよりも、気温が高かったことで生肉が動かなかったが、加工品の売り上げでカバーした。半調理品や生の焼き鳥串が売れていた。これから迎えるクリスマス、年末の曜日の並びは最高で、ある程度の売り上げを期待している。

繁華街やターミナル駅では人出が戻ってきたが、オフィス街はまだ。飲食店も昼間は戻ってきたが、夜の遅い時間は戻り切れていないため、今後どうなるか危惧している。出張や大人数での宴会など、社用がどこまで回復するかがポイントだと思う。

▽種鶏ふ卵部会=ここ数年はコマーシャルのえ付け羽数を前年比101.5%として需給バランスを計算している。各社の種鶏導入羽数はチャンキーの生産性向上により減少傾向であるが、計画通りに導入できていない可能性があり、今年は需要期の10~11月に大幅なひな不足が起こることが分かっていた。

このため、早い段階からアナウンスして種卵を確保し、不足することなくひなを納品できた。昨年は東から西へ種卵が流れる傾向だったが、今年は西から東に流れている。この要因としては、猛暑の影響により東北で起こった種鶏羽数の減少や生産性の低下が考えられる。この影響は現在も続いている。

今年10~11月の種鶏導入羽数が計画を下回っているため、来年4月から種卵の在庫が減る傾向になる。ここで判断を誤り在庫をはき出すと、肝心の需要期に種卵を確保できなくなるため、種鶏ふ卵部会としては早めのアナウンスによって不足なくひなを納品できるようにしたい。

▽インテグレーター部会=緊急事態宣言が解除されても、他畜種も含めて物の動きは思ったほど伸びていない。外出したとしても、外で食事にお金を使うのはランチで、夜の需要は戻っていない。特に社用接待や団体の会合などは期待が先行している。