政府主導のBCP策定を 日本農業法人協会

農産物の安定供給維持で農水省に提言

(公社)日本農業法人協会(山田敏之会長)は5月22日、新型コロナウイルス感染症の流行下でも、国産農産物の安定供給を維持するための「事業継続計画(BCP)」に関するルールの策定を求める『特別政策提言』を、足腰の強い農業構造の確立のための『日本農業の将来に向けたプロ農業経営者からの提言』とともに農林水産省に提出した。特別政策提言の概要は次の通り。

日本農業法人協会は、今後どのような事態が起きても、農産物の安定供給を継続していく必要があると考えているが、そのためには、わが国と諸外国の状況を踏まえ、 次のようなことが必要だと考えている。

1、農産物供給システムの維持継続

それぞれの農業法人においては、感染者が出ないよう十分注意しているが、農産物の供給は複数の経済主体からなる全体システムとして成り立っており、大口の出荷先である卸売市場・食肉処理施設・食品メーカーなどに感染者が出て、その機能がストップすれば、安定供給はできなくなる。

このため、①農産物 の大口の出荷先である卸売市場・食肉処理施設・食品メーカーなどに感染者が出ても、短時間で その機能を回復できるようなルールを、あらかじめ整備しておくことが必要②短時間で機能を回復できない場合に、別の 出荷先に、迅速に出荷できるような仕組みを、 あらかじめ整備しておくことも必要③輸送手段についても同様であり、現に航空機を利用した農産物輸送については減便の影響が出ている。

2、生産資材供給の維持継続

農産物の生産に不可欠な肥料・農薬・飼料などの生産資材の原料は、外国に依存しているものが多く、外国での生産や輸出、日本までの海上輸送に支障が生じると、農産物の安定供給はできなくなる。

このため、①生産資材原料の外国での生産・輸出や日本までの海上輸送の状況を常にウォッチし、問題が生じる恐れが生じたときは、早めに対策を講じられるようにしておくことが必要②生産資材原料の調達先について、日ごろから多角化を進めておくことが必要。

3、日本農業全体としての事業継続計画(BCP)
1および2は農業者サイドだけでできることではなく、国が主導して、日本農業全体としての「事業継続計画(BCP)を策定していただくことが必要。