改正食品衛生法政令案で〝営業許可業種〟に相当する32業種示す

法の施行に向けパブリックコメント募集開始

厚生労働省は5月21日~6月19日の「食品衛生法施行令および厚生労働省組織令の一部を改正する政令案」の意見募集に次いで、7月19日に「食品衛生法において定められた公衆衛生上必要な措置の実施のためのガイドライン案」、7月26日に食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う「省令案」と「政令案」に関するパブリックコメントの意見募集を始めた。意見公募要領、提出先などは電子政府の総合窓口のパブリックコメントのホームページ(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public)を参照。締め切りは「ガイドライン」が8月17日、「省令案」と「政令案」が8月24日。

「ガイドライン案」は、食品衛生管理に関する技術検討会がまとめた検討結果を中心に、食品事業者によるHACCPに沿った衛生管理の実施の制度化に当たっての一般衛生管理や、HACCPに基づく衛生管理の危害防止のための留意事項などを示し、目安として従業員50人未満などの小規模事業者はHACCPの考え方を取り入れた衛生管理とし、対象事業者は政令で定めるとしている。

「省令案」と「政令案」では、改正した省令と政令の公布日は令和元年9月。施行期日は、省令は令和2年6月1日、政令は「改正法の公布の日(昨年6月)から3年を超えない範囲(2年後の令和3年6月まで)で政令で定める日」。

「省令案」に関する意見募集の中で本紙関係では、食品または添加物の輸入の項で、輸入食肉、食鳥肉は、輸出国でHACCPに沿った衛生管理を求めているほか、国内の営業者が順守すべきHACCPに沿った衛生管理に関する事項(基準など)を定めている。

また、食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律施行規則(平成2年厚生省令第40号)に関しては、

①改正法による改正後の食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律(平成2年法律第70号。以下「食鳥処理法」という)第11条第1項第1号に掲げる事項に関する同項の厚生労働省令で定める基準として、現行の食鳥処理法施行規則別表第3に規定している事項に加え、教育訓練、記録の保存、関係者以外の立ち入りの制限に関する事項を追加する。

②改正法による改正後の食鳥処理法第11条第1項第2号に掲げる事項に関する同項の厚生労働省令で定める基準は、次の事項に関するものとする。
イ 危害要因の分析
ロ 重要管理点の決定
ハ 管理基準の設定
ニ モニタリング方法の  設定
ホ 改善措置の設定
ヘ 検証方法の設定
ト 記録の作成

③改正法による改正後の食鳥処理法第11条第2項の規定に基づき、衛生管理計画および手順書を作成することを定める。

④衛生管理の実施にあたっては、次に掲げる事項を順守すること。
イ 衛生管理計画および手順書が科学的に妥当なものであること。
ロ 衛生管理計画および手順書に基づき衛生管理を適切に実施するとともに、検査または試験を実施することにより衛生管理が適切にされていると評価できるよう措置すること。
――などとしている。

「政令案」では、都道府県が施設についての基準を定めるべき営業(営業許可業種に相当)を次の32業種とし、この中に液卵製造業も含まれている。
1 飲食店営業
2 調理の機能を有する  自動販売機により食  品を調理し、これを  販売する営業
3 食肉販売業
4 魚介類販売業
5 魚介類競り売り営業
6 集乳業
7 乳処理業
8 特別牛乳搾取処理業
9 食肉処理業
10 食品の放射線照射業
11 菓子製造業
12 アイスクリーム類製造業
13 乳製品製造業
14 清涼飲料水製造業
15 食肉製品製造業
16 水産製品製造業
17 氷雪製造業
18 液卵製造業
19 食用油脂製造業
20 みそまたはしょうゆ製造業
21 酒類製造業
22 豆腐製造業
23 納豆製造業
24 麺類製造業
25 そうざい製造業
26 複合型そうざい製造業
27 冷凍食品製造業
28 複合型冷凍食品製造業
29 漬物製造業
30 密封包装食品製造業
31 食品の小分け業
※乳製品に関しては固形物(バター、チーズ、濃縮ホエイ、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳及び調製粉乳)に限る。
32 添加物製造業

また、改正法による改正後の法第57条第1項に規定する公衆衛生に与える影響が少ないものとして政令で定める営業(届出対象外の業種に相当)については、
1 食品または添加物の輸入をする営業
2 食品または添加物の貯蔵のみをし、または運搬のみをする営業(食品の冷凍または冷蔵業を除く)
3 容器包装に入れられ、または容器包装で包まれた食品または添加物のうち、冷凍または冷蔵によらない方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれがないものの販売をする営業
4 器具または容器包装(改正法による改正後の法18条第3項の政令で定める材質以外の原材料が使用された器具または容器包装に限る)の製造をする営業
5 器具または容器包装の輸入をし、または販売をする営業
――を示している。

これらの営業に該当しない業種が「要届出業種」に相当し、同政令の施行(令和3年6月までの政令で定めた日)後は、「営業所の名称や所在地など省令で定められる事項」を、自治体に届け出なければならなくなる。

最終的な業種の分類は、まだ明確には示されていないが、厚労省によると今回のパブコメを経て公布される政令では、より細かく示されるとのこと。基本的には4月26日の「食品の営業規制に関する検討会」のとりまとめで示された分類に準じるとされ、鶏卵GPセンターも要届出業種に含まれる見通し。