家庭需要増で鶏肉相場は堅調推移

今年の鶏肉相場(日経東京・正肉加重)は、順調な国内生産もあって春先までは前年を下回って推移したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大から4月に緊急事態宣言が出され、不要不急の外出自粛で家庭用などの内食需要が高まり、家庭用に多く仕向けられていた国産鶏肉の需要が伸びたため、4月以降は上昇した。7月もこの需給傾向が続き、もも正肉は前年同月比54円高の597円、むね正肉は同40円高の262円と前年を上回って推移した。

一方、営業自粛を余儀なくされた業務外食、加工需要は低下し、仕向量が多かった輸入鶏肉の需要は減少した。日本食肉輸出入協会の鶏肉輸入動向検討委員会の7月現在の見通しでは、「輸入鶏肉には厳しい状況が続いている。緊急事態宣言解除後、外食の売り上げが回復するかに見えたが、最近の新型コロナウイルス新規感染者数の増加に伴い、再び売れ行きが停滞してきており、在庫量の増加も相まって回復の兆しは見えない」としている。

(独)農畜産業振興機構の8月の鶏肉需給予測では、生産量は前年比1.3%増の13万1800トン、輸入量は同11.3%減の4万4800トンで、出回り量は同2.2%減の17万6400トンと予測。

今後も、業務・外食需要が元に戻るには時間がかかるとみられるため、家庭需要の増加と業務・外食需要の減少の中で鶏肉相場は堅調に推移するとみられる。