国産チキンへの追い風期待 食鳥協理事会

職場でのコロナ対策徹底へ

(一社)日本食鳥協会(佐藤実会長)は9月3日、令和3年度の第2回理事会をオンライン形式で開いた。

冒頭、佐藤会長は「国産チキンの夏場の状況は苦戦し、もも肉に余剰感が出ていたが、9月に入って急に気温が下がり、余っていたもも肉が動き出したようだ。我々にとっては追い風であり、秋本番に鶏肉の消費が上向くことを期待している。9月に入り、鳥インフルエンザの防疫対策を実施する時期に入ったと自覚している。鶏肉の消費を盛り上げるとともに、鳥インフルエンザの発生防止にも尽力していただきたい。また、新型コロナや人員不足による影響で、海外での鶏肉の生産状況が厳しいという話もあり、国産チキンに少し追い風が吹くことを期待しているが、不足しすぎると値段が上がり、他の畜産物に乗り替わってしまうことも考えられる」とあいさつした。

最近の鶏肉の需給動向について、各部会から次のように報告された。

▽生産加工部会=生産成績については、大腸菌症がまだ出ていたり、熱死が出たところもあるが、全体的には前年並みで推移していると思われる。新型コロナの影響で処理場を2週間休業したところでは、飼料の給与量を調整したものの、鶏の体重が大きくなったり、小さくなりすぎたなどと安定しなかった。

販売状況は、むね肉、ささみ、手羽先は何とか引き合いがあって良かったが、全体的にもも肉で苦戦した。

飼料価格がかなり高騰している。飼料基金からの補てんは出るが、いずれ財源が枯渇するため、来春以降のコスト高をかなり心配している。

新型コロナ関連で困っているのが処理場の出勤率の低下で、10%ほど落ち込んだところもある。家族が濃厚接触者になったり、学校が休校になり子どもの面倒をみなければならないケースがかなり出ている。技能実習生についても、帰国した人数分を補充できず、かなり困っている。毎日のように残業しても追い付かず、休みを返上して稼働するところも出ている。

生産加工部会の中でも処理場を2週間休業したところが数社かあるが、保健所の濃厚接触者の扱いによる影響が大きい。処理場の場合、喫煙室に出入りする人はマスクを外すため濃厚接触者になる。食事や喫煙、更衣室など、マスクを外すところでは気をつけなければならない。

農場では家族全員が新型コロナに感染したところもあったが、休舎期間中で助かった。鶏がいる時に感染すると、面倒をみる人がいなくなってしまうため、大変である。飼料やひなを配達する人に、これまでは農場の休憩室でお茶を出して話をしていたが、マスクを外すと濃厚接触者になりかねないため、自粛しなければならない。

▽荷受部会=8月のお盆以降の売れ行きは良くなかったが、月末にもも肉を中心に販売量が増え、9月に入りタイト感が鮮明になってきた。むね肉、ささみ、手羽先は、ほぼ凍結に回ることなく何とか捌ける状況となった。手羽元、砂肝、レバーは一部加工に回っているが、特にレバーは厳しい。調味料メーカーのCMによる手羽元の需要喚起に期待したい。

外食が大変厳しく、焼き鳥屋向けの皮、軟骨などの副産物が滞ったり、ラーメンチェーン向けの鶏ガラが販売できなくなり、すり身に回すなど、あまり良くない。

需要が少し回復していた量販店は、前年比ではほぼ100%に戻っており、前々年比では105~110%になっている。最近の量販店の状況は、客数は減っているものの、1人当たりの単価は少し上がっている。

加工向けは、むね肉、ささみが順調で、しばらく続きと思われる。特にタイのパッカーでは新型コロナのクラスターが発生したり、一時帰国したカンボジア人の従業員がタイに入国できない状況で、来春まで影響が続くかもしれない。このため国内の荷受ではタイ産角切りの代わりにブラジル産角切りを使うが、人気が高まって足りなくなっているため、ブラジル産もも肉を国内でカットするケースも少しずつ出てきている。

今年の年末、特にクリスマスの骨付きももはタイに依存するところが大きいが、タイからの加工原料が大変厳しい状況にあるため、今後、国産チキンに対して少しずつ良い影響があることを期待している。

荷受各社からは、①むね肉が大きすぎるため、生活者やユーザーのニーズに全く合っていない②夏場と冬場の需要量の差が大きいため、需要量に応じた生産ができればよい③食品ロスが大きな問題になっている中で、コストをかけてレバーを廃棄することは、CSRやSDGsの観点からもマイナス面がある――などの意見が出された。

▽小売部会=小売りは昨年6~7月に需要が大きかったことによる反動で、生肉や素材関係の動きは鈍かったが、一昨年と比較すると売り上げは何とか取れている。若どり・銘柄鶏は、昨年は大型パックでの販売があったため、今年はなかなか単価が取れずに苦しかったが、半調理品は生の焼き鳥串をはじめ、ステーキ、ハンバーグ、タレ付けなどが好調だった。気温が高い状況でも、地鶏の鍋需要が多少あった。

加工品は飲食店休業の影響もあり、焼き鳥を中心に希少部位を含めて動きが非常に良く、弁当関係も良かった。巣ごもりの中で調理疲れの影響もあったと思われる。

お盆は天候不順に加え、都心では帰省や旅行客が増えて普段とあまり変わらない販売状況であった。お盆明けに買い物の回数を控えるような呼びかけもあったが、以前のように買いだめなどの消費行動がみられず、売り上げは厳しい。大型商業施設では新型コロナのクラスターが発生し、入場制限もあって、しばらくは厳しい状況が続くと予想される。

業務卸は、緊急事態宣言の中で協力金が手厚くなっているため、休業する飲食店が増えており、納入業者の売り上げは30~40%ほど減っている。学校給食も9月から分散登校になり、納品が半減している。コロナ禍が長期化する中で資金繰りが厳しくなっており、できるだけ早く緊急事態宣言を解除してほしいという話が出ている。地鶏については、県などの協力で学校給食に使用されており、助かっている。

ワクチン接種が進む一方で感染者数が高止まりし、年末の準備を進める雰囲気もなく、商談もできない。特に今年のクリスマスは曜日も良く、きちんと営業できれば期待できるが、大型商業施設での入場制限などの規制も予想しながら数量を確保するなど、状況は難しい。職場での感染防止や感染者が出た時の対応についての話もあった。

▽種鶏ふ卵部会=今年は年当初の計画により、前年に比べて種卵が不足するデータが出ているため、現在はひなの最大需要期とされる10月1日~11月15日の間について、入雛は前年比101.5%の計画で準備を進めている。感触として10月に入るひなは、これより少し多いと感じており、11月1日~15日の入雛は少し減るのではないかと思っている。10月分の種卵の使用が増えるため、11月分の種卵の確保を全国的に行なっていると推測している。いずれにせよ、業界に迷惑が掛からないような形で準備している。

生産加工部会からの話にもあったように、ひなの納品先でお茶やお菓子などが提供された際に運転手がマスクを外したことで、出勤停止になったケースが少なからずあった。このようなことを防ぐために、ひなだけでなく、飼料関係なども含めて、日本食鳥協会から何らかの通知を出してほしい。不織布マスクの着用もポイントになるため、お互いに仕事に穴が開かないような形でマスクを着用し、納品時には外さないように徹底してほしいと思う。

▽インテグレーター部会=8月の新型コロナ感染者の突出ぶりは異常で、食肉センターなどでもクラスターが発生している。感染自体はなかなか抑え込めないが、職場でクラスターを起こさない対策が求められる。