各国への輸出が拡大 中国が米国最大のブロイラー輸出先に USAPEECバーチャル年次総会

アメリカ家きん鶏卵輸出協会(USAPEEC、ジム・サムナー会長)は米国時間の6月9~12日に、ズーム社のインターネット会議サービスを活用して「バーチャル年次総会」を開き、会員の米国の大手養鶏企業関係者を中心に、過去最高の約280人が参加した。中国やメキシコなど世界の畜産物市場の動向や、家きん衛生などをテーマに専門家や担当者が講演したほか、任期を満了した役員の改選も実施した。

サムナー会長はあいさつの中で「家きん製品の生産と安定流通の維持」の重要性を強調。そのために、変化に対応して個々の役割を遂行している穀物の農家やナショナル・チキン・カウンシル(NCC)、米国鶏卵生産者協会(UEP)、アメリカン・エッグ・ボード(AEB)、米国家禽・卵協会(USPOULTRY)などと緊密に連携しながら、米国や世界の関係諸機関と協力を続けているとし、「困難を経て、我々はより強い産業や団体となる」と述べた。

サムナー会長は今年1~4月の米国産ブロイラーの輸出量について、前年同期比9%増の117万7000トン、輸出額は18%増の12億1100万ドルに増えたことを報告。

国別では、前年同期はゼロだった中国へのブロイラー輸出が今年に入って再開されたことが大きく、1~4月で9万9900トン(うち4割強が鶏足)が中国本土に輸出されるなど、中国が国産鶏肉の最大の輸出先となった一方、香港を経由して中国などに輸出される分が減少したとみられることから、香港向けは前年同期の8万9600トンから4万7100トンへと47%減少したと述べた。台湾や、アフリカ豚熱(ASF)の被害を受けたベトナム、フィリピンを含むアジア5か国への合計輸出量が36%伸びていることも示した。

今後については、中国などASFの甚大な被害を受けた国々からの家きん肉需要は、回復の動向にもよるが、引き続き堅調に推移すると予測した。

今年1~4月の鶏卵の殻付換算輸出量は同31%増の9680万ダース、輸出額は26%増の8090万ドル(うち殻付卵の輸出量は11%増、輸出額は27%増、加工卵の輸出量は50%増、輸出額は26%増)に増えたと報告。

国別では、殻付卵についてはメキシコ向けが世界各国と同様に外出規制などによって鶏卵需要が急増したことで1129万ダース増、香港向けが2月ごろに中国産卵が入らなくなったことでスーパーなどの小売り需要が倍増したため144万ダース増、アラブ首長国連邦向けが競争相手のウクライナでの高病原性AIやASFの発生、最大手の破産などで73万ダース増、オマーン向けも同様の理由で15万ダース増となった一方、カナダ向けは同国の増産と需給緩和により974万ダース減となったことを説明した。

加工卵についても、メキシコ向けが殻付卵と同様の理由で421万ドル増、日本向けが日米貿易協定発効による関税率引き下げで欧州、特にオランダに対する競争力が上がったため166万ドル増、チリ向けが95万ドル増、韓国向けが81万ドル増、マレーシア向けが36万ドル増になったことなどを報告。

このうち日本向けについては、4月に協定関税率が3年目に入ってさらに下がったため、米国産加工卵の競争力がさらに上がるとの期待を示した。