卵価上昇、先行きには「不透明感」 外食苦境

鶏卵相場(全農M加重)は2月20日、前週に続いて各地で上伸。東京は前日比7円高の192円、大阪は5円高の185円、名古屋は10円高の200円、福岡は5円高の175円となった。

昨年の台風被害やえ付け羽数の減少などで、生産量が前年同期より少ない中で、決算月を迎えた大手量販店の特売などの引き合いが増え、大手外食チェーンのプロモーションも控えているため。ただ、当面は外食関係の需要が非常に弱く、内食志向や節約志向が強まる要因が目立っている。

生産面では、昨年の育雛用飼料出荷量は前年比8.1%減、昨年10~12月平均の成鶏用飼料出荷量は同2.1%減、(一社)日本種鶏孵卵協会の全国推計値に基づく昨年のえ付け羽数も同4.1%減。加えて、昨秋の台風被害や、累計処理羽数が昨年末時点で約1180万羽となった成鶏更新・空舎延長事業により、ひな導入のタイミングがずれ、現在産卵中の成鶏めす羽数は前年同期より300万羽程度減っている可能性もある。

需要面のうちテーブルエッグは堅調で、特にスーパー向けの出荷が中心の産地では、在庫がなくなってきているところもあるとのこと。新型コロナウイルスに関する報道が盛んになり、会合や出張、イベントの中止が相次いでいるため、消費者が外で飲食する機会が減り、家庭消費が増えている。

一方、外食・加工関係の需要は、景気の改善が一向に実感できない中で、折からの節約志向や内食志向の高まりに加えて、新型コロナウイルスによる外国人旅行客の減少や、国内のイベント自粛の影響も加わり、特に飲食店向けの荷動きは、非常に厳しい。

当面はこのような状況が続くとみられるが、生産面では、これまで減少傾向で推移してきたえ付け羽数が、特に東日本で再び増えているとの声が聞かれ、年後半の需給動向に懸念も出始めている。