卵価は底値脱出も上昇力弱い

鶏卵生産者経営安定対策事業 財源切れの心配も

9月の月間平均卵価(JA全農たまご・東京M基準)は前月より8円上昇したものの、153円にとどまり、前年の179円と比べると26円安となった。卵価の底は脱したが、生産過剰基調が続き、需要の拡大材料も乏しいため、昨年のような相場(10月204円、11月219円、12月227円)は期待できない状況が続いている。

JA全農たまご(東京)Mサイズ加重平均

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、鶏卵消費は家庭用が前年に比べ10%近く伸びる一方、業務(外食)用や加工(液卵)用が約20%下回り、全体として10%弱の需要減が続いているとみられている。

9月の卵価は、大手外食チェーンの「月見」キャンペーンと、暑さによる卵重減で、M~LLが9月8日に東京、名古屋、翌9日には大阪、福岡で各5円上昇。さらに朝晩の涼しさも加わった15日には、各地で5円上昇した。

連休明けの24日にも東京、大阪、福岡で各5円上げ、東京、大阪、名古屋、福岡のM基準は160円(大阪は29日にも上伸し165円)に。日々の標準取引価格も安定基準価格の161円を上回る166円となり、5月18日に発動された成鶏更新・空舎延長事業は9月23日で終了となった。

10月は、換羽誘導や成鶏更新・空舎延長事業への協力など各産地の生産抑制への努力が続く中、農水省の「Go To Eatキャンペーン」が始まり、「Go To トラベル」の対象に東京が加わるなど、外食や観光への刺激策が卵の需要拡大に結びつくことが期待され、輸出需要も好調なため、小幅な上げは見込まれるものの依然、例年の秋口のような上昇力はない。

今年の「クリスマス」や「正月おせち」の企画は、巣ごもり需要を見込んで例年より豪華になっていると言われるが、食品ロス削減の動きから予約販売が増え、量的に多くは期待できない状況。

成鶏更新・空舎延長事業は終了したが、価格差補てん事業は継続しており、これ以上卵価が回復しないと、財源切れで年度途中で事業が打ち切りとなる可能性もある。

(一社)日本養鶏協会内でも、鶏卵生産者経営安定対策事業の財源を有効に使って卵価の回復を図る検討が進められ、9月上旬、事業参加者に「令和2年度鶏卵生産者経営安定対策事業の現状と今後の対応について」を発信したとのこと。

ひなえ付け羽数などからみた成鶏稼働羽数は前年並みに増えてきている中で、仮に年内の卵価はそこそこの水準を維持できたとしても、来年1月の下落場面に対応できるかどうかが問題になっている。価格差補てん事業が打ち切られ、10~12月期に続き1~3月期も配合飼料価格が値上げとなると、生産者は運転資金などの面で厳しい経営環境に立たされる可能性が強いとみられる。

成鶏更新・空舎延長事業の終了を通知 日本養鶏協会

日本養鶏協会は9月24日、同日の鶏卵標準取引価格(日ごと)が166円となり、安定基準価格の161円を上回ったため、前日の9月23日をもって成鶏更新・空舎延長事業の対象となる成鶏の出荷期間が終了したことを鶏卵生産者経営安定対策事業加入者などに通知した。

同協会では、安定基準価格を上回った日の前日までに、食鳥処理を出荷計画申込書に基づき食鳥処理場に申し込んでいる成鶏については、上回った日(9月24日)から起算して30日後(10月23日)までに食鳥処理場で処理されていることを条件に、奨励金交付の対象になるとしている。

同事業に参加する加入生産者には、出荷完了後から30日までに同協会へ事業参加兼交付申請書類などを提出し、取り組み完了後は速やかに事業実施報告書類を作成して提出することを求めている。

奨励金の交付後、報告書類の審査と現地確認で60日以上の空舎期間や、ひなの再導入などの要件を満たしていない場合は、奨励金の返還を求めるとしている。