千葉県が採卵鶏長期飼育比較などの試験研究成果を発表

千葉県畜産総合研究センターは2月4日、『第57回試験研究成果発表会(養鶏部門)』を成田市の成田国際文化会館で開いた。

富田耕太郎センター長は、1063年から続く同発表会の歴史に触れた上で「当センターにとって最大のイベントの1つとして実施している。本日は採卵鶏の長期飼育2課題と、青色卵殻鶏の育種改良1課題について情報提供する。皆様には、少しでも有意義な情報を集めていただき、人的な交流も進めることで、千葉県の養鶏活性化につなげてほしい」とあいさつ。

発表した養豚養鶏研究室の3氏のうち、市原光一研究員は2018年6月15日にえ付けした採卵鶏8銘柄の532日齢(76週齢)までの成績を『採卵鶏主要銘柄長期飼育比較調査』として報告【成鶏期の総括成績は表参照】。今回の調査鶏はジュリア、ジュリアライト、ハイラインマリア、ボリスブラウン、ゴトウもみじ、ノボブラウン、ハイラインソニア、ゴトウさくらで、飼養施設は開放鶏舎、成鶏期はケージでの2羽飼いとした。これまでは476日齢までの調査であったが、今回は鶏の能力向上を受け、700日齢(100週齢)まで調査を延長するとのこと。

伊藤香葉研究員は『誘導換羽を伴わない長期飼育が産卵後期の産卵性と卵質に及ぼす影響』について情報提供。ジュリアを700日齢まで不断給餌・自由飲水、成鶏期は開放鶏舎のケージで1羽飼いなどの環境下で飼養し、誘導換羽の実施区と未実施区で比較したところ「経済的試算では誘導換羽を行なわない方が有利だが、産卵後期の卵質改善が必要になる」と報告した。また、小腸でのカルシウム吸収に関与する25-OH-D3(ビタミンD3代謝物)を誘導換羽用飼料に添加したところ、産卵後期の産卵成績と卵質への影響はみられなかったとした。

小杉次人研究員は『新青色卵殻鶏の作出(途中経過報告)』について発表。千葉県では青玉鶏の飼養者が比較的多いことから、県の保有する青玉鶏の種鶏『WA』と、『岡崎アロウカナ』を交配して新系統の造成を試みたところ、その第2世代(F2)はWAよりも卵殻が硬く厚い傾向を示したという。卵殻色についても、F2の方が濃い青緑色の卵殻となる可能性があるとのこと。

鶏病研究会千葉県支部

試験研究成果発表会に続き、鶏病研究会千葉県支部が『第3回技術研修会』を開催。日生研㈱営業部学術・安全管理室の堤信幸室長が『最近の病性鑑定事例と注意したいポイントや対策』のテーマで講演。鶏大腸菌症やコクシジウム症、壊死性腸炎、伝染性気管支炎などの予防・治療方法などについて情報提供した。