令和3年度補正予算 飼料の異常補てん積み立て230億円

家畜衛生や輸出拡大支援も

政府は11月26日に臨時閣議を開き、一般会計で過去最大の35兆9895億円となる令和3年度補正予算案を決めた。12月6日召集の臨時国会に提出して成立を期す。このうち、農林水産関係の補正予算は8795億円となっている。

養鶏関係の単独予算はないが、「配合飼料価格高騰対策事業」は230億円。配合飼料の値上がりで令和2年度第4四半期(1~3月)に2年ぶりに通常補てんが発動するとともに、令和3年度第1四半期(4~6月)には通常補てんと同時に8年ぶりに異常補てんが発動し、第2四半期(7~9月)も両補てんが継続している。この結果、令和3年11月中旬時点で通常補てん基金(生産者がトン400円、飼料メーカーが同800円拠出)は約297億円の財源があるが、異常補てん基金(国とメーカーが2分の1ずつ拠出)は約6000万円しか残っていないため、異常基金補てんの国の積み立分として230億円を拠出するもの。成立するとメーカーも同額を積み立てることになるとみられる。

「家畜伝染病・家畜衛生緊急対策事業」は54億7700万円。このうち、高病原性鳥インフルエンザや豚熱などの発生農場における殺処分、焼却等の防疫措置に要した経費や、豚熱ワクチン接種に要した費用、殺処分等に要する手当金の家畜伝染病予防費は51億9400万円。

「畜産クラスター事業」は617億円。畜産クラスター計画を策定した地域で、輸出の拡大や中小農家を含めた生産基盤強化、経営継承を後押しするため、収益性向上等に必要な機械導入・施設整備を支援する。

「畜産環境対策総合支援事業」は18億4100万円。持続的な畜産物生産に向けた取り組みを推進するため、家畜排せつ物処理に伴い発生する温室効果ガスの排出削減等に資する好気性強制発酵による堆肥の高品質化やペレット化による広域流通のための取り組み、畜産経営から発生する悪臭の防止や排水の水質改善をさらに進めるための高度な畜産環境対策の導入などの取り組みなどを支援する。

「2030年輸出5兆円目標の実現に向けた『農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略』の実施」は432億9100万円。内容は、①品目別輸出の達成に向けた官民一体(オールジャパン)でのマーケットイン輸出の取り組み強化が68億円②海外での輸出支援体制の確立販が22億円③輸出産地・事業者の育成・展開が17億円④一貫したコールドチェーンによる輸出物流の構築が5億円⑤畜産物輸出コンソーシアム(事業共同体)推進対策が22億円⑥輸出促進に向けた環境整備が10億円⑦食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備緊急対策が64億円⑧食肉等流通構造高度化・輸出拡大事業が70億円――など。