ビタミンD豊富な卵で健康維持を 英国鶏卵産業協会が紹介

英国鶏卵産業協会(BEIC)は、5月13日付でBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル、英国医師会雑誌)に掲載された新型コロナウイルスに関するレポート『ビタミンDとSARS-COV-2ウイルス/COVID-19』の中で、骨や筋肉、呼吸器の健康に関連するとの研究成果がある「ビタミンD」が豊富な食品の一つとして、卵黄が挙げられたことを国際鶏卵委員会(IEC)のホームページで紹介。「卵は大事なビタミンを手軽に摂取できる食品の一つ」と紹介している(編集部注…SARS-COV-2は新型コロナウイルス自体の学術的な名称、COVID-19は同ウイルスにより引き起こされる新型コロナウイルス感染症の名称)。

BMJのレポートは、〝体内のビタミンD(とその代謝物)の多さが、COVID-19の発症や予後に関係している〟との説が世界各国で出てきていることから、英国の研究者らが現時点での科学的知見をまとめたもの。

ビタミンDの体内での働きや、疾病との関係などを解説し、結論として①ビタミンDは健康の維持に不可欠②多くの人々、特に英国や北欧、カナダ、インド・中国北部などの高緯度地域に住む人は、冬期や家にこもる時期にビタミンDが不足していることが多い③COVID-19がまん延している状況下では、人々の室内滞在時間が長くなり、太陽光を浴びる時間が短くなるため、ビタミンDの欠乏状態が悪化しやすいと考えられる④自主隔離などで太陽光を浴びる機会が制限されている場合は、各国の基準に従ってビタミンDのサプリメントを摂取することが推奨される(編集部注…英国では1日10マイクログラム、日本では成人や高齢者、妊婦らの目安量として同8.5マイクログラムが食事摂取基準で示されている)――とする一方、⑤大量のサプリメントなどによる高用量のビタミンD摂取が、COVID-19の予防や治療に役立つという強固な科学的根拠はない⑥ビタミンDの過剰摂取(1日100マイクログラム以上など)は、特に腎機能低下など他の疾患がある人にとって、健康リスクがあるとの科学的根拠はある――とも解説。

その上で「生活習慣の中で、ビタミンD不足を解消していくこと」が大切とし、良い栄養と運動が免疫機能の強化に良いことや、人は日光を浴びることでビタミンDを産生できること(英国の白人の場合は昼時に10分でOK。日本人の場合は、茨城県つくば市では7月に3.5分、12月に22.4分、北海道では7月に4.6分、12月に76.4分で5.5マイクログラムを産生できるとしている)、食品では青魚や赤身肉、卵黄、栄養強化食品などから摂取できることを紹介している。

注…食品安全委員会では、新型コロナウイルス感染症と食品について、現時点で「感染予防に効果がある食品の報告はありません」としている。

卵2個で手軽に摂取量アップ!!

BEICの同文書の文末には、アイリッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された論文でも、ビタミンD摂取の重要性や、COVID-19との関係を支持するデータが出てきていることや、登録栄養士で食事療法士のジュリエット・グレイ博士の卵についてのコメントも紹介。

グレイ博士は「隔離状態にある人にとって、毎日の少しの運動とともに、栄養豊富な食事はきわめて重要であり、卵は骨と筋肉の健康を支えるビタミンDの摂取量を増やす、手頃かつ万能な食材と言える。

Mサイズの卵2個には、1日に必要な量の3分の1が含まれている(日本食品標準成分表による生卵100グラム当たりのビタミンD含有量は、7訂〈通常卵〉では1.8マイクログラム、昨年12月更新データ〈栄養強化卵含む〉では同5.2マイクログラム)。

トーストにスクランブルエッグを乗せたり、ゆで卵を2個食べたりすると、ビタミンD摂取量を手軽かつ効果的に引き上げることができる。卵はたんぱく質をはじめ、様々な栄養素が豊富な食材だ。特にセレンは予備的研究で、ビタミンDと同様にCOVID-19の予後との関係が示唆され、健康維持に重要なビタミンB12、オメガ3系脂肪酸(DHA、EPAなど)も豊富だ」と述べている。