トウモロコシ単収は史上最高 20/21年度米国穀物需給予測

直近の天災で減少の可能性も

米国農務省は8月12日(現地時間)、2020/21年度の穀物需給予測を発表した。それによるとトウモロコシの生産量は、米国の単収が史上最高となり生産量が上方修正されたほか、大豆の単収も上方修正された。これを基にした世界の生産量は、トウモロコシ、大豆ともに史上最高となる見通し。一方、消費量はともに前年度より増加するが、期末在庫についてトウモロコシは生産量が消費量を上回るため、前年度より増加し、大豆は前年度より減少する見通しとなっている。米国の生産需給予測は次の通り。

米国農務省(USDA)が8月12日に公表した農産物需給予測月報(WASDE)では、今年度で初めて現地調査の結果が単収に反映されている。トウモロコシの予想単収は史上最高となり、大豆の予想値も引き上げられたことから、需給は前月予想より緩和する予測となっている。ただ、同時期に中西部のイリノイ州などが時速100マイルを超える風速の嵐(デレーチョ)に見舞われ、一部の地域で穀物保管施設やトウモロコシが倒伏するなどの被害が報じられているほか、干ばつも報告されているため、今後のレポートでは、その影響が反映されてくる可能性がある。

トウモロコシ

2020/21穀物年度(20年9月~21年8月)のトウモロコシの期初在庫は、前年度比700万ブッシェル増の22億2800万ブッシェル、作付面積は前年度比230万エーカー増の9200万エーカー、1エーカー当たり単収は14.4ブッシェル増で史上最高の181.8ブッシェル、生産量は16億6100万ブッシェル増の152億7800万ブッシェル(約3億8808万トン)、期初在庫・輸入量と合わせた総供給量は16億4800万ブッシェル増の175億3100万ブッシェルと予想している。

需要面では、飼料その他向けは前年度比3億2500万ブッシェル増の59億2500万ブッシェル、輸出量は4億3000万ブッシェル増の22億2500万ブッシェル(約5652万トン)。エタノール向けは3億5000万ブッシェル増の52億ブッシェルと予想している。

これらの需給予測から、20/21年度の期末在庫量は前年度比5億2800万ブッシェル増の27億5600万ブッシェル、期末在庫率は前年度比2.4ポイント増の18.7%。平均農家販売価格は前年度比50セント安の3ドル10セントになると予想している。

大豆

20/21穀物年度の米国産大豆の作付面積は、前年度比770万エーカー増の8380万エーカー、1エーカー当たり単収は5.9ブッシェル増の53.3ブッシェル、生産量は8億7300万ブッシェル増の44億2500万ブッシェル(約1億2042万トン)、期初在庫・輸入量と合わせた総供給量は5億7900万ブッシェル増の50億5500万ブッシェルと予想。

需要面では、搾油量は前年度比2000万ブッシェル増の21億8000万ブッシェル、輸出量は4億7500万ブッシェル増の21億2500万ブッシェル(約5783万トン)。期末在庫量は前年度比500万ブッシェル減の6億1000万ブッシェル、期末在庫率は前年度比2.2ポイント減の13.7%。平均農家販売価格は前年度比20セント安の8ドル35セントと予想している。

大豆ミールについては、世界の生産量が前年度比957万トン増の2億5182万トン、輸出(国際貿易)量が4万トン増の6773万トン。米国の生産量が45万トン増の4665万トン、輸出量が13万トン減の1225万トン、1ショートトン当たりの大豆ミール平均価格が前年度比10ドル安の290ドルになるとしている。

8月24日現在のシカゴのトウモロコシ相場(期近物)は3ドル28セント前後、大豆相場は8ドル98セント前後で、いずれも昨年より1ドル弱安い水準の推移が続いている。

米国のトウモロコシ・大豆の需給動向