カリフォルニア市場向け採卵鶏 2021年末までにケージフリーに

州法案を住民投票で承認

米国カリフォルニア州は11月6日、米国議会中間選挙に合わせて12項目の州法案について住民投票を実施し、このうち12番目の建議案「農場動物舎基準(Farm Animals Confinement Standards)」が賛成多数で承認された。

同法案では、州内の採卵鶏と、州内で販売される卵を産む採卵鶏(いずれも七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥を含む)は、2019年末までに1羽当たり1平方フィート(約929平方センチメートル)以上の飼養面積とし、2021年末までに、ケージフリーの鶏舎で飼養しなければならないとしている。子牛や豚にも同様の数的規制を示している。

11月8日現在の確認済み賛成票数は424万3800票で全体の61%、反対票数は271万472票で同39%。州内の人口は3954万人。

カリフォルニア州では、2008年の大統領選に合わせて実施された住民投票で、家畜を「壁や他の個体に触れずに立ち上がったり座ったり反転したり羽を広げたり」できるように飼養しなければならないとする「Proposition 2」(第2号建議案)を投票総数の63%の賛成票で可決し、15年1月1日に州法として施行した。ただ、同州法では具体的な飼養方法と1羽当たり面積を規定していないため、運用上は1羽当たり0.8平方フィート(約743平方センチメートル)以上の飼養密度であれば従来型ケージでも飼養が可能だった。HSUSなど20を超える動物愛護団体は、これを不十分として、今回の建議案を住民投票にかけるよう署名を集め、賛成票を投じるよう働きかけていた。

一方、地域の採卵養鶏団体「ACEF」や養豚団体「NPPC」などは畜産物の価格上昇や不足を招くとして同法案に反対。PETAなど動物の権利(Animal Rights)を主張する団体も、畜産物の消費自体に反対する立場から同法案に反対していた。非営利団体「バロットペディア」によると、賛成派が集めた資金は1259万ドル、使った資金は約954万ドル。反対派が集めた資金は55万ドル、使った資金は4.3万ドル。

「キング修正案」のキング議員は再選

米国の養鶏専門誌「ワット」電子版によると、08年の住民投票で承認されたカリフォルニア州法案について、州法に合致しない他州産の卵の販売禁止は「州間の保護貿易主義を禁じる憲法の通商条項に反する」として、農産物の州間流通を妨げる同様の州法をすべて実質的に無効化する法案「州間通商保護法(Protect Interstate Commerce Act=PICA、通称キング修正案)」を提出したスティーブ・キング下院議員(アイオワ州選出、共和党)は中間選挙で勝利した。9期目の再選。PICAは現在も2018年の農業法に含めるか検討されているという。