すぐに補償や給付の対応を!

一連の対応に伴う課題について聞いたところ、特に飲食関係のフードチェーン全体に及ぶ影響の大きさについて「政治や行政がのんびりやっているうちに、どんどん倒産する」「日銭で暮らしを維持している人はどうにもならない」「犯罪も相当増える」といった意見が聞かれた。

資金面の対策については、融資が先行しているが「いつ経営が再開できるか分からず、もう融資の段階ではない」「至急給付を」「この局面ではすぐに税金を還元し、回収は復興税のように後から考えるべき」などの声があり、特に休業補償について「生活がかかっている飲食店は、しっかり補償が出れば休業でき、感染抑制の効果も上がる」「家賃の納付猶予も、大家に補償しないと進まない」といった提言が聞かれた。休業補償は独自に設置・検討している自治体があるが、政府は休業補償ではなく、売上高が半減した法人に最大200万円を給付する予定。ただ、売り上げ減に直面している経営者の視点からは「200万円では役に立たない」「要件が複雑かつ厳しすぎる。5割未満の販売減でも経営は立ち行かなくなる」「5月では間に合わない」との指摘が聞かれている。

より良い方向へ協力し考えていこう

各政策については、マスメディアでも厳しく批判されるようになっているが、状況をより良くするために「否定だけでなく、どうすればうまくいくか建設的な意見を出していきたい」「まずは(安定供給や雇用の維持など)やるべきことをしっかりやりたい」「このような時は協力して、自分たちが何をできるか考えたい」との意見も。

あらゆる農産物を含めて生産・流通関係者が現在、最も懸念しているのは、仮に従業員が感染者や濃厚接触者とされた場合の取引停止などの風評被害。農水省の事業継続に関するガイドラインでは、『食品を介した感染事例はない』『感染者が発生した施設で操業停止や食品廃棄の必要はない』『取引先に不当な取引条件を課さないこと』と明記しているが、既に「納品時にドライバーの体温が37度Cを超えていると納品を拒否するスーパーのセンターがある」など、不当とみられる事例も聞かれ、買い手のモラルと適正な対応が求められている。

また、大多数を占める小規模な事業者では、仮に数人が自宅待機を要請されただけで実質的に閉鎖要請と同じになるため、「経営はもとより食料安定供給にも関わってくる。小規模な事業所が経営継続できるような(人的資源などの)セーフティーネットが必要ではないか」といった指摘が出ている。

消費が持ち帰りや通販に偏り、遅配などが出ている物流についても「料飲分野などのドライバーは仕事を失っている。食品の安定供給を維持する観点からも、行政がトラック協会などに声をかけ、協力した運転手や企業などに協力金を出すなどして足りないところに支援してはどうか」との提言も聞かれた。

東京鶏卵事業協同組合と(一社)東京都卵業協会は、政府の要請内容や、重要な役割を担う鶏卵流通業の業務が継続できるように全面的に協力することなどを会員に周知した上で、業務の継続に向けて「スタッフに感染者が出た時、業務が継続できるように準備が必要です。業務全体が休止しなければならない状態は、企業の存続にも係わることになります。事前に、連絡の取れる会社同士で、顧客への安定供給を考え、応援体制を整えておきましょう。また組合、協会等に相談してみましょう」と呼びかけている。