『鶏ちゃん』の魅力を発信 岐阜県の郷土料理を東京・有楽町で体験

料理好きで、普段からSNSを楽しむ女性31人が参加した

岐阜県の郷土料理『鶏(けい)ちゃん』は、鶏肉と有り合わせの野菜があれば手軽に作れて、ご飯によく合い、酒のさかなにもなる。その魅力を多くの人に知ってもらい、岐阜県への観光誘客を図るための調理イベントが2月4日、東京・有楽町で催された。

岐阜県東京事務所の主催で、鶏ちゃんの魅力を遊び心たっぷりに情報発信する団体『鶏ちゃん合衆国』などが協力。公募で選ばれた女性31人は普段からツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNSを利用する人たち。

鶏ちゃんは一口サイズの鶏肉をタレで味付けし野菜と一緒に焼く料理で、県民が各家庭や店舗で食べ始めたのは昭和30年代とも言われる。ただ県職員によると、東海地方での知名度に対して他地域ではまだまだPRの余地が大きいとのこと。

鶏ちゃん合衆国の日下部副大統領(萩原チキンセンター社長)

エプロン姿の参加者を前に、同事務所総務課の岩井輝義主任がSNSへの料理の投稿を呼び掛けた上で「今日は岐阜県から鶏ちゃんの専門家が来てくれた」と、鶏ちゃん合衆国の日下部讓副大統領兼商務長官(㈲萩原チキンセンター〈下呂市〉社長)を紹介。

日下部副大統領は鶏ちゃんのイロハから説明し「焼いて食べるのが基本だが、揚げたり煮たりしても良い。使う野菜はキャベツをはじめ、ピーマン、パプリカ、ブロッコリーなど色々なアレンジを加えるのも楽しい。そこが皆さんの腕の見せどころ」などと話した。

さらに岐阜県では昭和中期に『1000羽養鶏』と呼ばれた一家を養える程度の採卵養鶏が盛んで、卵を産みにくくなった成鶏(親どり)をさばいて味噌などで味付けして食べてきた歴史も紹介。

奥美濃古地鶏をぜいたくに使った鶏ちゃんが完成!

自身は萩原チキンセンターの経営者として、国産のタレ漬け鶏肉『萩屋ケイちゃん』シリーズの生産・販売に努めながら、同業者や飲食店、小売店、鶏肉生産者らと連携し、様々なPR活動を展開していることも話した。

調理時間になると、美濃加茂市の㈱山本養鶏孵化場(山本満祥社長)がひなをふ化・販売する地鶏『奥美濃古地鶏』のもも肉と、岐阜県産キャベツ、郡上味噌、コチュジャンを使った鶏ちゃん作りに取り掛かった。参加者は調理過程をスマートフォンで撮影し合うなど和気あいあいに鶏ちゃんを作り、完成品をSNSに投稿。岐阜県の特産品が当たる抽選会や、観光PRタイムなどの企画も楽しんだ。

作り終えた人からは「普段は鶏肉を焼くか揚げるかが多い。野菜と一緒に炒めるのは豚肉ばかりだが、これからは鶏肉も使ってみる」「奥美濃古地鶏の歯ごたえがしっかりしていてびっくり」「噛めば噛むほどおいしい」などの声が聞かれた。

日下部副大統領は盛況に終わったイベントを振り返り「岐阜県内外には当社のような鶏ちゃん製造メーカーが40社はあり、うどん屋、ラーメン屋、うなぎ屋などのように『鶏ちゃん屋』がある。私にとっては、鶏ちゃんを食べる人の笑顔を見るのがたまらない。鶏ちゃんを通じて、みんなの笑顔がもっともっと広がるように頑張っていきたい」と話していた。

2012年の〝建国〟以来、鶏ちゃん合衆国に加盟する企業は着実に増え、今では約100社・団体に。本紙関係では岐阜アグリフーズ㈱、㈱後藤孵卵場美濃かしわ事業本部、生活協同組合コープぎふ、タケムラ商事㈱、㈱トーノーデリカ、㈲とり沢、㈱ファミリーマートなどが含まれる。