『チャレンジ』で全国大会 畜産女性のいきいきネットワーク

畜産女性の思いが詰まった毎年恒例の『カラスの寸劇』

畜産業界の女性でつくる「全国畜産縦断いきいきネットワーク」(事務局・(公社)中央畜産会内)は8月27日、東京都台東区の浅草ビューホテルで全国大会を開いた。

今大会のテーマは「チャレンジの先にチャンスあり!~目指そう良才賢簿(りょうさいけんぼ)~」で、牛、豚、鶏、養蜂などの女性経営者や団体職員ら約120人が出席。開会あいさつに立った小林陽子会長(養豚、三重)は、今夏の農畜産業界は自然災害に苦しめられたものの、若い世代の活躍に大いに沸いた夏でもあったとし、「公立高である金足農業の快進撃は甲子園を大いに沸かせ、連日の逆転劇と、農で培われた底力に全国の農業者はくぎ付けになった。彼らの活躍に大きな拍手を送りたい。一方の私たちも、本日の大会では自分に合った『チャレンジ』とは何かを見つけ、新たな一歩を踏み出すきっかけとしよう」などと呼びかけた。

大会では女性の活躍をテーマにした講演会や寸劇などを通じて、男性にはないきめ細かな気配りや、柔軟な発想、情報発信力(コミュニケーション能力)などが畜産経営に必要だと確認しあった。また、出席者が自由に発言できる意見交換会と1分間スピーチでは、口下手でも家族を支えてきた夫や、チャンスをつかもうと努力する後継者への感謝の言葉も聞かれた。

日本大学生物資源科学部の齋藤武至専任講師は講演の中で、女性が活躍する経営体として㈱愛鶏園(採卵鶏、齋藤大天社長―本社・横浜市神奈川区)の事例を紹介。雇用人数170人のうち57人が女性(データは講師による調査時点)である背景には、①省力機械の導入や各施設の整備②朝礼での意思疎通を重視③活躍を評価する仕組みを整えて意欲向上につなげている――ことなどがあると評価した。

3班に分けて行なわれた意見交換会のうち、鶏・豚・養蜂班の進行役は㈲熊野養鶏(採卵鶏、愛媛)の熊野智子さんが務めた。自社や自身のためにチャレンジしてきたことを聞かれた㈱山下鶏園(同、三重)の山下恵美子さんは「嫁いですぐのころは場になじめず、県の勉強会などに積極的に参加して自分を高めてきた。それからは穏やかに働けるようになった気がする」とコメント。

(農)セイメイファーム(同、埼玉)の嶋田文代さんは謙そんしながらも、「私はあまりチャレンジをしてこなかったように思う。ただ、いきいきネットワークでたくさんの仲間ができたことが私の財産。もうちょっと頑張っていきたい」などとした。

㈲畠中育雛場(同、福岡)の畠中五恵子さんは「毎日がチャレンジの連続で、これまで王道を走ったことがない(笑い)。獣医師の資格を持って養鶏経営をし、6次産業化に取り組み、インターネットの楽天市場にも20年前から出店している。いまの時代は女性であること自体がすごいチャンス。女性にしか出ない補助金も多くあるし、女性というだけで色々と取り上げられやすい。こんなに親身になって話し合えるネットワークは男性にはない!」と話して共感を得た。

畠中さんは1分間スピーチにも立ち、①卵は1日に何個食べても大丈夫②小児アレルギー予防のためにも(医師の管理の下で)離乳食の早期段階から少しずつ卵を食べさせてほしい③自著『人間万事塞翁が鶏 たまごや二代目 五恵子の直売日記』が日本畜産振興会から発売中―――であることを情報発信した。

会員の増強や、関係機関への輸入畜産品対策の拡充要請、家畜伝染病対策、国産畜産物の消費拡大活動などに取り組むことをまとめた『大会宣言』を採択して閉会。懇親会でもなごやかに語り合った。