「第47回ネッカリッチ研修会」開く

森林の成分を耕種農業と畜産業に活用し貢献

山口秀樹社長

広葉樹の樹皮炭に木酢液を加えた混合飼料「ネッカリッチ」や、杉皮付きチップを蒸煮後に繊維状にした牛用粗飼料「ウットンファイバー」など、木材由来の飼料を製造・販売する宮崎みどり製薬㈱(山口秀樹社長―本社・宮崎市)は11月6日、東京都豊島区のホテルメトロポリタンで『第47回全国ネッカリッチ研修会』を開いた。

各商品を利用する畜産家や、そこで発生する畜糞(堆肥)を使う農業者らも出席。営業部ネッカリッチ課の藤原保之次長が進行役を務め、佐藤博文取締役のあいさつで開会した。

山口社長は、昨年の第41回に続く今研修会を第47回としたのは、同社の母体となった広崎総業時代の大会も含めたためと説明。今後も宮崎みどり製薬は林業、畜産業、耕種農業の持続可能な発展に寄与していくとの理念を示した上で「健全な作物は健全な土壌で生産され、健全な土壌とは森林の影響下にある大地だと言える。私たちが45年以上かけて追求してきたのは、いかに森林の栄養を土壌中に保持させるかで、今後も木材成分の利活用を通じて、地方創生の中核となる耕種農業と畜産業との共同事業に貢献していきたい」などと述べた。

別室にはネッカリッチ農法で作られた卵やコメなどを展示

研修会では同社とネッカリッチ㈱の役職員、野菜や果樹の生産者、大阪府立大学の渡来仁教授、ネッカリッチ農法を支持するNPO法人JUDOs(井上康生理事長)の鈴木利一事務局長ら22氏が講演。このうち養鶏関係では、宮崎みどり製薬の藤原次長が『持続可能な循環型農業システムが必要とする鶏糞の特性および現場報告』のテーマで情報提供した。

藤原次長は、同社研究開発部が岐阜聖徳学園大学の坂井田節名誉教授の指導の下、今年4月16~18日に宮崎県内の採卵養鶏場で実施した『鶏糞中の有機酸総量測定』の試験結果を報告。ボリスブラウンに適量のネッカリッチを給与したところ、対象区(241~243日齢)の鶏糞の有機酸濃度557.4ppmに対し、ネッカリッチ給与区(364~366日齢)は同673.8ppmと高かったとし、「有機酸には土壌中の成分の一部を溶かし、作物に吸収させる働きがある。ネッカリッチ鶏糞の活用は作物の成長に効果的と考える」とした。

採卵鶏のネッカリッチ鶏糞にウットンファイバーを混ぜ込んだ『ネッカリッチ・ウットンファイバー鶏糞』(供給元は高知市の㈲ニシモト)を使用する熊本県のイチゴ農家の感想も紹介。同鶏糞はC/N比(炭素と窒素の比率)が16に調整されているため根焼けを起こしにくく、ウットンファイバーの成分が土壌中の微生物の餌となり、豊かな土づくりに貢献しているとの評価を参加者に伝えた。

各氏の講演後は、酪農学園大学の小岩政照名誉教授が研修会の総評を述べて閉会。懇親会に移り、ネッカリッチ農法で生産した農畜産物などを味わいながら、なごやかに歓談した。