「東京しゃも」が地理的表示登録

農林水産省は5月8日、東京都の「東京しゃも」を地理的表示(GI)の産品として登録した。鶏肉では「奥久慈しゃも」に次いで2例目となる。

地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を、品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもの。地理的表示法に基づき、2015(平成27)年12月から登録している。

「東京しゃも」(登録番号第77号)の登録生産者団体は、東京しゃも生産組合(浅野良仁代表―東京都あきる野市菅生347)。

江戸の名物料理「軍鶏鍋」として愛されてきた伝統的な鶏肉の味わいを再現するため、品種改良した軍鶏とロードアイランドレッド種を交配した交雑種に、さらに軍鶏を戻し交配する三元交配の方式により、軍鶏の系統を75%引き継いだ銘柄鶏。肉質は軍鶏の特徴を多く引き継いでおり、赤みの色合いが濃く、身はよく引き締まり、歯ごたえがある。

ブロイラーが市場に流通する鶏肉の大半を占める中、消費者や江戸時代から続く鳥料理店の強い要望を受けて、江戸の食文化であった軍鶏鍋に適した鶏を復活させる動きが活発となり、東京都を中心に育種事業を進め、昭和46年には都内で愛好家が維持してきた江戸の軍鶏の血を引く子孫を旧東京都畜産試験場に集めて飼育を始めた。昭和57年に三元交配様式を確立し、昭和59年から正式に「東京しゃも」のブランド名で流通している。

飼育期間は120日以上で、1平方メートル当たり10羽以下(60日齢以降)の飼養密度に調整したケージまたは平飼いで飼育する。

「東京しゃも」は都内の養鶏農家が30年以上にわたり飼育してきた。東京しゃも生産組合は現在、都内4戸(あきる野市2戸、青梅市1戸、立川市1戸)の養鶏農家で構成され、近年の年間出荷羽数は2~3万羽の範囲で推移している。